【おすすめ本】オーガニックワインを知る2冊

ORGANIC

オーガニックワインの奥行きを感じる2冊をご紹介します。

ワインの歴史は長く紀元前5000年頃に醸造が始まったとも言われています。

オーガニックワインは昔ながらの農法や製造方法を意識して、ブドウ本来の美味しさ引き出すために生産者が努力して造られたものが沢山のあります。

どちらの2冊もワインを知り尽くした著者が、オーガニックワインや自然派ワインの魅力を紹介しています。

「オーガニック・ワインの本」田村安著

私のバイブルのような本です。

ワインの世界とオーガニックワインの世界は重なることも多いのですが
ジャンルが違うと感じています。

オーガニックワインを販売することになって
何を学んだら良いのかわからなかった時に著者の田村さんの講座を受講しました。

田村さんは学生時代にスペインに留学をされていて
水よりも安いワインを沢山飲んでいたそうです。

日本の大手食品メーカーでドイツやフランスの駐在員として働くようになって
現地のワインに精通していたのですが
香料メーカーに勤める友人からワイン用の香料があることを知り衝撃を受けました。

安いワインも合成香料を加えることで有名な産地のワインに変わるそうです。

さらに日本に届くヨーロッパの安価なワインは安く輸送するため、
温度管理輸送などしていないものがほとんどです。

アラビア湾やインド洋、南シナ海など、熱帯で40℃を越える高温にさらされ、
国内でも、トタン1枚の問屋の倉庫、炎天下のトラック、小売店でも棚ざらし、直射日光。
この条件でワインをもたせるために、大量の合成保存料が使われるのです。

私にも経験がありますが一般的なワインを沢山飲むと頭が痛くなります。
その原因の一つが合成保存料だと言われます。

この本はオーガニックワインの基本的なことや
田村さんのオーガニックワインに対する考え方を学ぶことができます。

ソムリエに関しても資格好きな日本人に苦言を呈しています。

世界の中でソムリエが一番多いのは日本だそうで
ワインの専門家として活躍していますが

舌が香料や調味料を使ったワインに慣れてしまっていて
オーガニックワインの自然な香りや味では物足りなく感じるようで
評価されにくいそうです。

私もレストランでオーガニックワインはありますか?
と聞くと嫌がるソムリエさんに出会ったことがあります。

オーガニックは時として他者を否定しているように
思われてしまいがちです。

否定するつもりはないのですが
ワインに関しては工業製品のように扱われ
現地とは違うものならばそれは問題だと思います。

田村さんの講習やこの本で改めて実感したことは
やはり本物を求めるとオーガニックに行き着くということです。

オーガニックは他者を否定するのではなく
美味しいと広まればいいのになぁと思いました。

オーガニック・ワインの本 田村安著

「アウトローのワイン論」勝山晋作著

勝山さんはFESTVIN(フェスティバン)というヴァンナチュールのイベントを主催する、
日本のワイン文化を牽引してきた方です。

私がkurkkuで働いていた2010年にオーガニックワインの素晴らしさを知り、
素敵なイベントがあると聞いて参加したのがフェスティバンでした。

私にとっては天国のようなイベントで、
ここまで揃うとは!と思うほどの種類のオーガニックワインが飲み放題で、
ワインに合う美味しいフードも買えて至福のひとときでした。

その頃からヴァンナチュールという表現が広まり、雑誌で特集があったり、飲める店も増えていきました。

こちらの本は半分くらいは
勝山さんがナショナル麻布スーパーマーケットでワインのバイヤーしていた頃のお話から始まって、
ご自身と共に日本のワイン文化の変遷を綴ったものです。

残りの半分はワインを知り尽くした勝山さんが行き着いたヴァンナチュールのお話です。

勝山さんが最初に衝撃を受けたヴァンナチュール
ボジョレのマルセル・ラピエールが造ったMORGONモルゴンだったそうです。

マルセル・ラピエール

「これは、すごい」ネガティブな要素が一切ない、
スッと体に入っていく。ゾクゾクするワインに久しぶりに出会えたと思ったそうです。

マルセル・ラピエールのワインは何度か私も飲ませて頂きました。
ボジョレ地区なので、ボジョレーヌーヴォーのワイン会などでお目にかかりました。

ボジョレ地区で初めて完全な有機農法のワインを作り、
ヴァンナチュールの礎を築いた
マルセル・ラピエールは2010年10月に突然他界されて現在は長男が引き継いでいます。

ヴァンナチュールの魅力について

これまでのワインは同じような造り方で、
飲むときに知識や経験をもとに「考えて」飲んでいました。

ヴァンナチュールは造り手の個性が出ているので、
最終的には飲んでみないとわからないくらい、
頭で考えるものではなく感じるものだと勝山さんは言います。

ヴァンナチュールの味わいはとてもピュアで官能的なんだそうです。

勝山さんが「あれ」と呼んでいる湿気った枯れ葉が放つような香りがあります。

私もオーガニックワインを飲んで感じる「あれ」があります。

私はその香りを感じると、
有機農業を長年やっている農家さんの畑や納屋の匂いを思い出します。

勝山さんと同じ「あれ」かどうかはわかりませんが(笑)

ヴァンナチュールやオーガニックワインはまだまだ少数派ですが、
長年ワインと関わってきた勝山さんがこれからどんどん
新しいワイン文化を作っていくんだなぁと感じさせてくれる本でした。

アウトローのワイン論 (光文社新書)

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