フリーランスの仕事についてリサーチすると違和感があります。
それは社会人経験が浅い20代や、全く業界経験のない人向けの記事が多いからです。
未経験でもフリーランスになれる!といった記事をみると仕事の内容はかなり地道な努力が必要なノウハウで、私だったらしないかな?と思うルートを紹介しています。
私は41歳でフリーランスを始めました。その時の発想はこれまでの経験を活かして仕事をするということです。当たり前ですよね。
悩むポイントとしては、サラリーマン時代の仕事の仕方とフリーランスの仕事の仕方が違うことだと思います。
社会人経験のある、特に30代や40代の方にご紹介します!
サラリーマンとフリーランスの仕事の仕方の違い
フリーランスとは会社や組織に属さず、個人で仕事をしている人の働き方のことですが、サラリーマンとは仕事の仕方が違います。
サラリーマンは会社や組織に属しているので、クライアントが仕事を依頼する先は会社ですが、フリーランスの場合はその個人に対して仕事を依頼します。
クライアントから見ると会社に発注するので、何か問題があっても組織として解決してもらえるだろうと安心感があります。
一方でフリーランスの場合は個人に対して仕事を依頼するので、スキルやキャパシティを理解した上で、本当に実現可能なのか?クオリティや納期は大丈夫なのか?といった不安がよぎります。
実績がないフリーランスにいきなり仕事を依頼するには、リスクがあると感じるクライアントは多いのではないでしょうか?
クライアントも会社なので、成果をあげなければなりません。個人の経験のために仕事を依頼してくれる気概のある経営者は稀にいますが、ビジネスなので少し割高でもフリーランスよりも企業に依頼したいという本音があります。
ではサラリーマンとフリーランスの仕事の仕方の違いはなんでしょうか?
例えば大手の小売業でキャリアがある人がフリーランスとして独立した場合、サラリーマン時代とは全く違う仕事の仕方になります。
大手の小売業で仕事をしていたら商品メーカーや設備メーカーなど、こちらから動かなくてもメーカーから営業されることが多く、その企業の担当者として最適な解を導けば良いのですが、フリーランスではその仕事は成り立ちません。
なぜならメーカーは担当者に魅力を感じているのではなく、その企業に魅力を感じて営業しているからです。
フリーランスとして独立するならば、大手の小売業の業界経験を活かして、個人でできることを探します。
例えば多くの商品を見てきた経験があれば、この商品が売れるかどうかという知見があります。また店舗開発の経験があればデベロッパーとのやりとりや、内装設計事務所との折衝の経験などは、実際に仕事をしないと得られない経験です。
その業界経験を活かして、個人でできることを探します。商品に関する知見があれば商品メーカーとコンサルティング契約をすることも可能ですし、店舗開発の経験があれば別の小売業の新店舗開発で業務委託の依頼を受けることも可能です。
その仕事を取るために必要なことは「元〇〇の□□さん」という肩書きです。サラリーマンの経験を活かしてフリーランスになるということは、実際はそこが大切です。なぜなら実績がない人に仕事を依頼することはできないからです。
肩書きといっても大企業であれば良いということではなく、中小企業でも業界で知られた企業であれば大丈夫ですし、企業名よりも何をやってきたかが重要です。
会社を辞める際に「守秘義務として同業の企業への転職は1年間してはいけない」みたいな誓約書にサインをさせられることもありますが、同じ業界の別の業態で働けば問題がないと思います。
フリーランスのマインドセット
サラリーマン経験が長ければ長いほど、フリーランスとして働くことは難しいと私は思います。
なぜなら企業は長年時間をかけて人材を育成し、その企業が求める思考やスキルを持たせることで、成果を上げ存続させていく使命があるので、その企業で育った人は価値観を変えることが難しくなるからです。
サラリーマンは仕事が用意されていて、収入も休日も社会保障もあるので安定しながら働けます。またクレジットカードや家のローンなどを組むときに社会的な信用もあります。
フリーランスになるとサラリーマン時代の当たり前がほとんどなくなります。
フリーランスとして働く場合は、仕事を探し、収入も休日も社会保障も自分で決めて、クレジットカードや家のローンなどを組むときも簡単ではありません。
フリーランスになる理由は人それぞれですが、最大の理由は「自由」なのではないでしょうか?
フリーランスで稼げる人はサラリーマンでも、仕事をしっかりやってきた人だと思います。仕事をしていく中で、組織で働くことの限界を感じ、個人で自由に働きたいという思いがあって、結果として稼げるようになった人たちだと思います。
お金のためと思って独立するような山師的な思想だと、独立がギャンブルになってしまい、持続することは難しいです。なぜならそんなに甘くないからです。
稼げるフリーランスに必要なスキル
フリーランスとして仕事を受けるにあたり、その業界の専門スキルや知識は必要ですが、一番重要なスキルは「未来を語れる」かどうかだと思います。
なんだかフワッとしていて意味不明かもしれませんので説明をします。
未来を語れるとは、これからする仕事において、自分が関わると現状よりもより素晴らしいものが出来るという提案です。
クライアントからみて、そのフリーランスの人がどんな肩書きがあろうが、高度なスキルがあろうが、現状と変わらない成果だったら、自社の社員に作業をさせれば良いので、フリーランスに仕事を依頼する必要がありません。
専門スキルや知識がある人に作業をお願いしたいという、ニーズはあるので否定はしませんが、そうなると単純な作業員なので、コスト競争が始まります。
ランサーズなどに紹介されている仕事は、作業ベースであり、ある意味誰でも良かったりします。経験のない人が実績を作るために仕事をするのであればメリットがあるかもしれません。
30代、40代でサラリーマンとして業界経験がある人であれば、他の人が真似できない付加価値に高い仕事を選びましょう。
付加価値とは商品やサービスに独自の価値をつけることです。
そのためにはこの人に依頼をしたら今まで以上の商品やサービスが作れて、利益が上がると思ってもらえるような未来を語ることが重要です。
成果が上がればリピーターとなってもらえますし、長期的な契約も可能です。もちろん新しいことをするので経験があっても成果が得られない可能性はありますが、失敗も経験なので、誠実に働いていればチャンスに恵まれることもあります。
相場を知って仕事をしよう
私の経験から言うと、サラリーマン時代の元職場や元上司から仕事がもらえるフリーランスになることが一番良いと思います。
なぜならサラリーマンとして働いた実績と報酬がベースになるので、クラウドワークスで紹介されている仕事より、高単価で安定した仕事だからです。
そのほかメリットが沢山あります。一番大きいのはコミュニケーションです。元社員であれば社内状況も理解しているので、求めることや、問題点などもわかった上で仕事ができます。
そんなに良好な関係ならば社員のままで働けば良いのでは?と思われるかもしれませんが、立場が全然違うので私の場合はストレスは半減しました。
報酬についても正社員と比べて福利厚生がないので、手取りは上がりました。
過去の給与というベースとなる相場があるので交渉がしやすかったです。
また企画会社にいた時の元上司から、店舗開発の仕事ができる人を探している企業を紹介してもらいました。
店舗開発の仕事の経験があったのですが、その時の契約料の相場感があったのでそのまま提示したら採用されました。
その時の仕事は店舗内のVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)といって視覚的に売り場づくりをするのですが、グラフィックデザインが沢山必要で、本来であればグラフィックデザイナーの仕事ですが、コンセプト作りからデザイン、ディスプレイまでほぼ一人で行った経験があります。
企画会社の経験がなければ、契約料についてどのように見積もったら良いのかわからなかったと思います。
フリーランスとして稼ぐならば、業界の経験を持って仕事をすることをおすすめします。それでも時代の変化があるので、元職場や元上司から仕事がもらえなくなる時は来ます。その時こそ時代にあった自分らしい仕事ができるようにスキルを上げていくことが大切だと私は思います。