コロナ禍で世界ではワクチンをめぐって争奪戦が繰り広げられています。
WHO（世界保健機関）は不平等なワクチン接種政策の影響で、世界が「壊滅的な道徳上の失敗」に直面していると警告しました。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は18日、より豊かな国で暮らす健康な若者が、貧しい国で暮らす重症化リスクのある人よりも先に予防接種を受けるのは、公平ではないと述べた。
テドロス事務局長は、49の富裕国で3900万回以上のワクチンが投与されている一方で、ある貧困国ではわずか25回分の予防接種しか行われていないと指摘した。
引用：BBC NEWS JAPAN
SDGsの目標3つめ「すべての人に健康と福祉を」では、あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進しています。
新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックを想定していない時代につくられた、SDGsですが、以前から貧困国の医療が足りないという問題があり、さらに深刻になっています。
そのまえにSDGsをおさらいすると
Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）を略してSDGs（エスディージーズ）といいます。
SDGsとは「Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会の共通目標で2030年の達成を目指しています。
SDGsは「17の目標」と「169のターゲット（具体目標）」で構成されています。
17の目標はこちら
このブログではシリーズでSDGsをまとめています。前回は【SDGs 2.飢餓をゼロに】飢餓と肥満どちらも問題【持続可能な農業が必要】でした。
今回は3つめの目標「すべての人に健康と福祉を」についてまとめます。
子どもの健康
17の目標の3つめは「すべての人に健康と福祉を」では大きく3つの問題を提言しています。
それは「子どもの健康」「妊産婦の健康」「HIVとAIDS」です。
子どもの健康については
2018年には、15歳未満の推定620万人の子供と青年が、主に予防可能な原因で死亡しました。これらの死亡のうち、530万人が最初の5年間に発生し、これらのほぼ半分が生後1か月で発生しました。
引用：国連「目標3：すべての人に健康と福祉を」
目標1「貧困なくそう」でも指摘された、サハラ以南のアフリカと南アジアでは、乳幼児死亡率が増加しています。これらの地域では5歳未満の子供の死亡の5人に4人が発生しています。
サハラ以南のアフリカの子どもたちは、高所得国の子どもたちよりも5歳未満で死亡する可能性が15倍高く
栄養失調の子ども、特に重度の急性栄養失調の子どもは、下痢、肺炎、マラリアなどの一般的な小児期の病気による死亡のリスクが高くなります。
栄養失調による要因は、5歳未満の子供の死亡の約45％をしめています。
妊産婦の健康
妊産婦の健康については
東アジア、北アフリカ、南アジアでは、妊産婦死亡率が約3分の2減少しています。しかし、開発途上地域の妊産婦死亡率は、依然として先進地域の14倍です。
引用：国連「目標3：すべての人に健康と福祉を」
改善傾向はあるものの貧困による医療体制の問題があり、妊産婦死亡の94％は、低中所得国で発生しています。
目標1「貧困をなくそう」目標2「飢餓をゼロに」と同じ貧困問題が、子どもや妊産婦といった弱い立場の人の健康にも影響があるのです。
HIVとAIDSの違い
HIVはAIDSを引き起こすウィルスのことで、AIDSはHIVに感染して免疫が低下した結果発症した合併症のことです。
HIVは、Human Immunodeficiency Virus（ヒト免疫不全ウイルス）というウイルスの頭文字をとった略称です。AIDSは、Acquired Immunodeficiency Syndrome（後天性免疫不全症候群）という病気の略称です。免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた23の合併症（日和見感染症）のいずれかを発症した場合、AIDSと診断されます。
引用：HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班
日本では1970年代の後半から1980年代のなかばころまでは、汚染された非加熱輸入血液製剤による血友病患者の感染が多く「薬害エイズ問題」として注目をされました。
現在の日本ではあまり問題視されなくなりましたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪万博の開催に伴って、様々な感染症が海外から持ち込まれることが危惧されており、HIVとAIDSもそのうちの一つです。
AIDSの主要感染経路は「性行為による感染」「血液を介しての感染」「母親から乳児への母子感染」の3つです。AIDSは知識がなく感染が広がっているので、対策するためにはSDGS目標4「質の高い教育をみんなに」とも連動しています。
SDG 3「すべての人に健康と福祉を」には、2030年までにAIDSの終焉を達成するという加盟国の約束が含まれています。
ビル・ゲイツが予言していた感染症問題
2015年にMicrosoftの創業者ビル・ゲイツ氏がTED TALKにて講演した内容がまさに、「新型コロナウィルスによるパンデミック」を予言した内容です。
ビル・ゲイツ氏は2000年に妻のメリンダさんと共に「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」を設立し「全ての生命の価値は等しい（ALL LIVES HAVE EQUAL VALUE）」との信念のもと、全ての人々が健康で豊かな生活を送るための支援を行なっていました。
ビル・ゲイツ氏がTED TALKにて講演した「The next outbreak? We’re not ready（もし次の疫病大流行（アウトブレイク）が来たら？私たちの準備はまだ出来ていない）」では
世界危機は戦争というよりは、むしろ感染性の高いウイルスが原因の可能性が大いにあります。ミサイルではなく微生物なのです。その理由の一つはこれまで私たちは核の抑制に巨額の費用をつぎ込みましたが、疫病の抑制システムの創出については殆ど何もやって来ていない事です。よって私たちは次の疫病の蔓延への準備が出来ていないのです。
引用：TED TALK「The next outbreak? We’re not ready（もし次の疫病大流行（アウトブレイク）が来たら？私たちの準備はまだ出来ていない）」
天才は気づいていたんです！しかしながら「核の抑制に巨大な費用をつぎ込んで、疫病の抑制には対応してこなかった」のです。
医療や福祉の問題は貧困問題と直結しています。
新型コロナウィルスのワクチンをめぐって、世界中が争奪戦になっていますが「ワクチン開発国」と「経済力のある国」が優先され、貧困国は置いて行かれます。
それを解決するべくWHOテドロス事務局長は
「全加盟国に対する私の課題は、4月7日の世界保健デーまでに、パンデミックと世界的な健康問題の根底にある不平等を克服するための希望の象徴として、COVID-19ワクチンがあらゆる国で確実に実施されるようにすることだ」
引用：BBC NEWS JAPAN
そのために「我々は5つのワクチン生産者から20億回分のワクチンを確保しており、さらに10億回分以上を追加する選択肢もある。2月の提供開始を目指している」そうです。
日本はまだワクチンの投与が始まっていませんが、国単位ではなく世界で必要な人にワクチンが広めることが大切だと思います。
世界保健機関（World Health Organization：WHO）は1948年4月7日に、すべての人々の健康を増進し保護するため互いに他の国々と協力する目的で設立されました。
年会費は5,000円からで寄付による税控除があるのでご活用ください。
